歯性上顎洞炎

投稿者 okabeshika on 12月 6, 2020

歯性上顎洞炎
歯が原因の蓄膿症のことです.

 歯からの感染が原因で起きる上顎洞炎を

歯性上顎洞炎といいます.
当院でも、年に数例は遭遇する疾患です.

 上顎洞、副鼻腔って?

目の下、目と目の間、目の上などに
副鼻腔という空洞があります.
その中で、目の下の空洞が上顎洞です.
他に、蝶形骨洞、篩骨洞、前頭洞などがあります.
上顎洞と上顎の歯牙の先端とは
薄い板状の骨で仕切られているだけで、
とても近接しています.

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 一方、
虫歯が進行すると、歯の根の神経が死んでしまい、
放置すると、歯の根の先端にバイ菌の病巣を形成します.
その炎症が、上顎洞に波及して発生するのが、
歯性上顎洞炎です.
さらに、他の副鼻腔に波及する場合もあります.

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原因としては、
前述の根尖病巣、歯根嚢胞などの
歯の根の先端のバイ菌の病巣が
原因になる場合が多いです.
あと、重度の歯周病により、歯周ポケットのバイ菌が
上顎洞に入り込み発生する場合、
親知らず由来の感染が原因となる場合もあります.

症状

歯の痛み、噛んだ時の歯の痛み、歯の根の部分の痛み、
鼻水、鼻づまりなどの鼻の症状、
上あごの痛み、響く感じ、目・顔の奥の痛みや違和感、
などの、症状が出現します.

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診断

歯科医院で撮影するレントゲン(パノラマ)と、
患者さんの症状とで、おおよその診断は可能ですが、
CTを撮影すると、確定的な診断を下すことができます.
上顎洞の粘膜の状態、炎症がどこまで進展しているのか、
片側性か、両側性か、
原因歯の周囲の骨の吸収、などが診断できます.
歯性上顎洞炎は多くの場合、片側性です.
右なら右だけ、左なら左だけに炎症があります.

 

治療方法

薬物療法と平行して、
先ずは、原因となっている歯の保存療法
(多くの場合根管治療)を行います.

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根管治療が奏功しない場合は、やむなく抜歯となります.
抜歯してできた骨の穴(抜歯窩)と
上顎洞が交通してしまった場合、
小さい穴であれば、自然に閉鎖することもありますが、
多くの場合は、閉じる手術が必要です.
口腔上顎洞瘻閉鎖術といいます.
けっこう難しい手術です.

 これでも治らない場合は、手術となります.

昔は、上顎洞根本手術という
口の中から、かなり大がかりな手術を行っていましたが、
現在は、内視鏡下副鼻腔手術という
内視鏡をもちいた鼻からの手術が主流です.

 以上、歯性上顎洞炎(歯が原因となる上顎洞炎)について、

かいつまんで、お話ししました.
参考となれば幸いです.

石川県金沢市 おかべ歯科医院
歯科医師・院長:岡部孝一
公益社団法人 日本口腔外科学会 指導医・専門医、医学博士